あのときのログ

思ったこと、経験したことを忘れないようにするためのメモ。

「アジャイルなチームをつくる ふりかえり ガイドブック」を読んだ

少し前に読んだ本のメモ。

動機

  • チームで開催されるスプリントレトロスペクティブ(以下、レトロ)に何となく参加してる気がする
  • レトロというよりKPTに参加している気がする
  • レトロの目的・進め方を自分はちゃんとわかっているのか
  • ふりかえりをすべきとよく言われるが、何ができりゃいいのか
  • KPT以外にも色々やり方があるらしい、興味があった

一言で言えば、「よく分からず惰性でふりかえっていた」ので、少し学んでみたいと思っていたところ、ニーズど真ん中の本が出たのでポチった。

(白状すると、発売後すぐではなく、Kindleの半額セールに入るのを今か今かと待ってポチった)

読んだ本

アジャイルなチームをつくる ふりかえり ガイドブック

また、この本の著者がQiitaにめっちゃふりかえりの記事書いてるのでそのあたりも参考になる。

qiita.com

ところでなぜ「ふりかえり」?

なお、アジャイル開発で用いられることが多い中、なぜ「レトロスペクティブ」でもなく「振り返り」でもなく「ふりかえり」なのだろうと思って本を読み始めたところ、途中の解説コラムで以下の様に説明されていた。

  • 「振り返り」=「後ろを振り向く」という動作や「反省会」のようなイメージを払拭し、やわらかい印象を与えるためにひらがなで表記
  • ふりかえりを専門的な難しい活動だと思われてしまうこともあるため、誰でもできる活動だということを知ってほしいという著者の思い

確かに「レトロスペクティブ」と表記されたら非アジャイル勢には敷居が高いし、ふりかえり自体はウォータフォールだろうと営業だろうと製造業でも学生の集まりでもできる。なるほど。

ということで、この記事でもひらがなで「ふりかえり」と表記することにしている。

ふりかえりのあれこれ

ふりかえりの目的

今回読んだ本ではふりかえりの大きな目的を「チームを『アジャイルなチーム』へ近づけていくこと」とした上で、以下3つの段階的な目的を定義している。

立ち止まる

  • 心と時間の余裕が無いときほど場当たり的な対応になる、一人ひとりの視野が狭くなる、チーム内コミュニケーションが希薄になるなど負の循環が続くので強制的に立ち止まれる時間を設ける

チームの成長を加速させる

  • 成果を出し続けられるパフォーマンスの高いチームは、日々のコミュニケーション(会話・議論・情報共有)と コラボレーション(協調作業)が自然に行われている
  • 朝会やふりかえりなどの会議イベントが無くても毎時・毎分・毎秒という高い頻度で必要十分なコミュニケーションとコラボレーションが取れるようにする
  • お互いのことを知ることが重要なので、価値観を共有するワークをするのもよい
  • 信頼関係を高めるために、感謝を伝え合ったり、抱いている不安を開示し合ったりするのも効果的

プロセスをカイゼンする

  • うまくいっていない部分や問題の解決に加え、うまくいっている部分をより強化していく活動
  • これが3番目なのは、チームの信頼関係が十分に構築されている状態でプロセスを変えようとするのを避けるため
    • 問題発生時に原因責任の追求が行われてしまい問題を隠す行動に繋がる
    • チームの信頼関係が高まっている状態であれば「チームとしてのアクション」へと考えがシフトしやすくなる

手法とやり方だけを真似して「手法を行うこと」が目的となってしまい、何のためにふりかえりをするのかが見えなくなってしまうと、ふりかえり自体が行われなくなってしまうことにも繋がる。 効果が実感できなくなったときなど、一度目的に立ち戻ると良い。

手法

KPT

言わずもがな、Keep, Problem, Try の3つの質問に答えることで、次のアクションを決めるためのフレームワーク

  • Keep:「よかったこと、つづけること」
  • Problem:「問題、課題」
  • Try:「トライ(次に行うこと)」

が、やっていると気づくのが「Keep少ないなぁ、Problemばっかりだなぁ」ということ。 KPTが悪いわけじゃないのだけど、負の側面に焦点が当たりがちなので、もっとポジティブな雰囲気が勝るふりかえりができないものだろうか、と。

その場合はYWTを試すと良いのかもしれない。

YWT

Y(やったこと)、W(わかったこと)、T(次にやること)のローマ字の頭文字を取ったふりかえり手法。

  • やったこと=事実、経験
  • わかったこと=解釈、学び、気づき
  • 次にやること=アクション

WはKPTのPのようなネガティブイメージがないため、前向きな議論に繋がる気がする。 また、Wは他のメンバーの「やったこと」「わかったこと」を元に色々な意見を加えていくと良い。

ちなみに、YWTはポジティブな言い方をしただけかと思っていたが、そもそもKPTで陥りやすい「Keepの前に何が起こったのかを思い出す」のを最初に行うようにできる手法とも言える。KPTの良い回し方も含めて↓は大変参考になる。

qiita.com

DPA

ふりかえりのルールを全員で作る手法。 - どんな雰囲気でふりかえりを進めたいか - その雰囲気を作り出すために何をするか

この2点について意見を共有し全員が合意できるものを選ぶ。 チームメンバー入れ替わりのタイミングや、1−3ヶ月くらいでルールを作り直すと良い。

タイムライン

チームに起こった事実と感情を両方合わせて書き出して全員で共有するための手法。 付箋を2色用意し、ポジティブな出来事とネガティブな出来事で分けて記入していく。

質問の輪

チームが輪になって1人ずつ「あなたは、私達が次に取り組むべきことは何だと思いますか」という質問に答えていく。2周以上(必要に応じて3周、4周)行う。

信号機

現在の心境を信号機の色に見立てて表明する手法。 ドットシールを使って、ふりかえりの最初と最後に心境を信号機の3色で表す。 チームの心理的な健康状態を知ったり、ふりかえりの効果を実感するのに有効。

その他

著者の作成されたスライドに「ふりかえりカタログ」として70もの手法が紹介されている(随時追加されているとのこと)

qiita.com

speakerdeck.com

なお、紹介されている手法は組み合わせて使うものなので、チームの状態やふりかえりの目的に合わせてどれを組み合わせるか、というテンプレのような紹介も書籍ではされている。

印象に残ったところ、参考になりそうなところ

感情表現

手法を見ているとやったことや気付きを書く際に必ず「どう思ったか」を書くようなものが多い。ふりかえりの目的を踏まえると合点がいく。

まずはプラスに目を向ける

一度マイナスを見つけるモードに入ると、プラスを見つけるのが難しくなる。禿同。 意見が出にくくなっている状態の打開策としても使える。

主語は「チーム」

アクションのアイデアなどを考える際の最初の主語は「チーム」

小さいアクションにする

大きなアクションにすると実行されない

ふりかえりのふりかえり

毎回のふりかえりの最後に、ふりかえりのふりかえりをして次回以降のふりかえりに活かす。この活動が抜け落ちるとふりかえりが徐々にチームの現状に合わないものになっていき、ふりかえりが形骸化していく。

問題が出てこないのは良いのか悪いのか

問題が全然出てこない場合にそこはかとない不安を感じる場合があるが、それは問題なのか? 本書によると、問題が無いのは本来素晴らしいことなのでまずは全員で祝いましょう、とのこと。 そして上手く行っている部分をより伸ばすことを検討する。 それでも毎回ふりかえりの際に問題が出ないことに違和感があれば、チームの理想像を話し合ってみて理想と現状のギャップを確認してみるというのも勧められていた。

まとめ

ふりかえりを何となくやっている、ふりかえりをしているというよりKPTをしている、という心当たりがあれば本書で紹介されている手法やその組み合わせ、進め方などを参考にして「ふりかえりのふりかえり」をしたい。

参考にしたもの、なりそうなもの

qiita.com

qiita.com

qiita.com

codezine.jp

harekoi.com

note.com

https://www.kikakulabo.com/tpl-reflection/www.kikakulabo.com

qiita.com

blog.engineer.adways.net